友人を占うということ 3
2012.08.28 22:31|雑記|
病院からは、この状態で帰す訳にいかないからと、
身の回り品は家族に持って来てもらってください。
家族、最近からいません。
お金、ほぼありません。
病室で落ち込む友人。
早くに治療を始めて居れば、時間はかかっても回復する病気でした。
「金ないのによ、仕事もできないでどうすんのよ俺。
2月に働かないって、このことかぁ。
占いってうまくできてるな。」
「論点ずれたよ。占ったからって訳ないじゃないか。
無理して働いた結果だよ。」
「そうか?
入院費払えないよ。どうしよう。」
「医療保険は?電話してあげるよ。」
「俺そういうの解らない。頼むわ。」
…
「だいぶ前に解約してあるって言われたよ」
「まさかよ!俺どうなってもよかったのかよ!」
さらに落ち込む友人。
「社会保険の高額医療の助成のほう申し込んであげるよ。
あとは、また退院する時考えなよ。」
「ありがとう…」
検査の続く日々、
退院の予測は立たずにだらだらと日は過ぎました。
ある日に友人から連絡が来ました。
「あのさ、おれ、死ぬのかな
家も失ってさ、子供たちにも会えなくなってさ、
おれ、死ぬ準備してるのかな。
どうなのよ?」
…死神。
入院した時は本当に、本当に、僅かな確率で
最悪の状態を疑ったけれど
いや。死なさない。
死神のカードがあってもその後のカードは白紙な訳じゃないですもん。
「占いは、しょせん占いだよ。
出るものが絶対じゃない。
私が未来を決めてるんでなくて本人が決めるんです。
つかさ、体の事は、病院に聞けよっ」
「そうか(笑)」
「治す気ないなら、死ね。」
「生きる。」
でも、退院しても車中泊の生活。
別の友人がもう見てられない!と
部屋をあれこれ探し始めました。
他の友人も次から次から、
彼の身を案じ訪ねてきて、
できる限りの助けをしました。
そして入居の費用がかからない部屋をみつけ、
他の友人も彼を助け、彼を励まします。
「おれ、これ一生忘れないと思う。
がんばって治す。」
生命力なのか単純なのか、友人の体の数値はみるみる普通の人に近づきました。
病院の先生も目を丸くするほどでした。
外出許可。
もしかすると、退院も夢じゃない。
部屋を決めて住所を移し、退院してからの楽しみを考え始めるようになりました。
よかったよかったと少し経ち、彼から連絡が来ました。
「新しい家によ、郵便物届いたの受け取ったのよ。
サラ金からの督促状が来たよ。
あと水道代とか、市民税とか、ゼロがたくさんついた金額請求されてるんだよ。」
金銭のもめ事。きた、これなのか。
「まさかさ。」
「100万円なんてとっくに超えた金額だよ。
おれ、給料ぜんぶ入れてたんだよ。幾らもらってるか知ってるしょ?
充分食わしていけたよなぁ、なのに、払うものなんも払ってないんだよ。」
「心あたりないのか。」
「籍抜いた理由は、嫁の借金なんだ、
立て直そうねってその時言ったんだ。」
「知らなかったよ。言わなかったじゃないか。」
「言えないよ、ずっと働いても働いても金ないって言われ続けたから、
俺の稼ぎが悪いのかって
ずっとがんばってきたぞ、俺。」
実際彼のお給料なら、普通の家庭には余る程の生活ができると思います。
「おれ、しぬかな」
「死なさない。」
「たぶん、死なないけど」
「わたしも周りも、あなたにやってあげたことの元とるまでは死なさない。」
「やばいな(笑)」
彼は次の外出で債務整理の相談に走りました。
それにしても、
これはたった数十日の出来事です。
初めて友人を占ってから数十日、占いのシナリオ通り、
占い以上に事実は奇なり、
本人すらも目を丸くする出来事が詰め合わせられて
時が過ぎて行きました。
「男も金も、ここまでって思わなかったけど
俺は解ってたからな。
お前に占ってもらって覚悟もついていたんだよ。
びっくりするくらい、こんなでも俺生きてるからな。」
「私が思うのはね、神様が幸せ不幸せを決めるっていうより、
良いこと悪いことどちらも受け入れても笑っていられる体を神様はくれてると思うんだよ。
これもあなたが作った運命だろうし、
それでもあなたは笑って生きていけるはずだ。」
「なんかわかるぞ(笑)おれ元気だもん!
あ。俺ね退院決まったさ!
また働けるって思ったら大した気分いいからよ、
なんかそのほかどうでもいいわ!
何とかするし何とかなるさ!」
ずいぶんと爽快な友人の声が響きます。
その通り、友人は奇跡的な早さで退院して、3月には新しい家で新しい生活が始まりました。
「戸籍も移そうと思ってよ、戸籍謄本取ったら子供たちの籍も抜けてたわ。」
「そうか。離婚しても家裁出さないと子供は父さんの戸籍のままだもんね。」
「そうなんだな、戸籍見たことないから知らんかった!
でよ、嫁、俺が出ていった2週間後に男と結婚してたわ!
これで完結だな。
綺麗さっぱりだ!
俺も頑張るぞー!」
死神。
終わる。
切れる。
旦那としてパパとしてずっと生きてきた友人の
一生に一度あるか無いかの区切り目だと思いました。
「…しばらく、好きな事して羽根のばしとけー」
そんな言葉をかけて、あとはまた通常通り
怒濤の冬も春も越えて夏が来ました。
「あのよ、今日よ、6月30日だろ?
お前7月に車のトラブルって行ってたよな、
アクセル踏んでも回転数上がらないんだよ。やばいよな?」
「明日7月1日の朝イチでディーラーに行ってください。」
修理して、治って数日。
「前のタイヤ両方バーストしたよ。
いくら7月だからってどうすんのよこれ!」
占い師に聞かないでタイヤ屋さんに聞け!
身の回り品は家族に持って来てもらってください。
家族、最近からいません。
お金、ほぼありません。
病室で落ち込む友人。
早くに治療を始めて居れば、時間はかかっても回復する病気でした。
「金ないのによ、仕事もできないでどうすんのよ俺。
2月に働かないって、このことかぁ。
占いってうまくできてるな。」
「論点ずれたよ。占ったからって訳ないじゃないか。
無理して働いた結果だよ。」
「そうか?
入院費払えないよ。どうしよう。」
「医療保険は?電話してあげるよ。」
「俺そういうの解らない。頼むわ。」
…
「だいぶ前に解約してあるって言われたよ」
「まさかよ!俺どうなってもよかったのかよ!」
さらに落ち込む友人。
「社会保険の高額医療の助成のほう申し込んであげるよ。
あとは、また退院する時考えなよ。」
「ありがとう…」
検査の続く日々、
退院の予測は立たずにだらだらと日は過ぎました。
ある日に友人から連絡が来ました。
「あのさ、おれ、死ぬのかな
家も失ってさ、子供たちにも会えなくなってさ、
おれ、死ぬ準備してるのかな。
どうなのよ?」
…死神。
入院した時は本当に、本当に、僅かな確率で
最悪の状態を疑ったけれど
いや。死なさない。
死神のカードがあってもその後のカードは白紙な訳じゃないですもん。
「占いは、しょせん占いだよ。
出るものが絶対じゃない。
私が未来を決めてるんでなくて本人が決めるんです。
つかさ、体の事は、病院に聞けよっ」
「そうか(笑)」
「治す気ないなら、死ね。」
「生きる。」
でも、退院しても車中泊の生活。
別の友人がもう見てられない!と
部屋をあれこれ探し始めました。
他の友人も次から次から、
彼の身を案じ訪ねてきて、
できる限りの助けをしました。
そして入居の費用がかからない部屋をみつけ、
他の友人も彼を助け、彼を励まします。
「おれ、これ一生忘れないと思う。
がんばって治す。」
生命力なのか単純なのか、友人の体の数値はみるみる普通の人に近づきました。
病院の先生も目を丸くするほどでした。
外出許可。
もしかすると、退院も夢じゃない。
部屋を決めて住所を移し、退院してからの楽しみを考え始めるようになりました。
よかったよかったと少し経ち、彼から連絡が来ました。
「新しい家によ、郵便物届いたの受け取ったのよ。
サラ金からの督促状が来たよ。
あと水道代とか、市民税とか、ゼロがたくさんついた金額請求されてるんだよ。」
金銭のもめ事。きた、これなのか。
「まさかさ。」
「100万円なんてとっくに超えた金額だよ。
おれ、給料ぜんぶ入れてたんだよ。幾らもらってるか知ってるしょ?
充分食わしていけたよなぁ、なのに、払うものなんも払ってないんだよ。」
「心あたりないのか。」
「籍抜いた理由は、嫁の借金なんだ、
立て直そうねってその時言ったんだ。」
「知らなかったよ。言わなかったじゃないか。」
「言えないよ、ずっと働いても働いても金ないって言われ続けたから、
俺の稼ぎが悪いのかって
ずっとがんばってきたぞ、俺。」
実際彼のお給料なら、普通の家庭には余る程の生活ができると思います。
「おれ、しぬかな」
「死なさない。」
「たぶん、死なないけど」
「わたしも周りも、あなたにやってあげたことの元とるまでは死なさない。」
「やばいな(笑)」
彼は次の外出で債務整理の相談に走りました。
それにしても、
これはたった数十日の出来事です。
初めて友人を占ってから数十日、占いのシナリオ通り、
占い以上に事実は奇なり、
本人すらも目を丸くする出来事が詰め合わせられて
時が過ぎて行きました。
「男も金も、ここまでって思わなかったけど
俺は解ってたからな。
お前に占ってもらって覚悟もついていたんだよ。
びっくりするくらい、こんなでも俺生きてるからな。」
「私が思うのはね、神様が幸せ不幸せを決めるっていうより、
良いこと悪いことどちらも受け入れても笑っていられる体を神様はくれてると思うんだよ。
これもあなたが作った運命だろうし、
それでもあなたは笑って生きていけるはずだ。」
「なんかわかるぞ(笑)おれ元気だもん!
あ。俺ね退院決まったさ!
また働けるって思ったら大した気分いいからよ、
なんかそのほかどうでもいいわ!
何とかするし何とかなるさ!」
ずいぶんと爽快な友人の声が響きます。
その通り、友人は奇跡的な早さで退院して、3月には新しい家で新しい生活が始まりました。
「戸籍も移そうと思ってよ、戸籍謄本取ったら子供たちの籍も抜けてたわ。」
「そうか。離婚しても家裁出さないと子供は父さんの戸籍のままだもんね。」
「そうなんだな、戸籍見たことないから知らんかった!
でよ、嫁、俺が出ていった2週間後に男と結婚してたわ!
これで完結だな。
綺麗さっぱりだ!
俺も頑張るぞー!」
死神。
終わる。
切れる。
旦那としてパパとしてずっと生きてきた友人の
一生に一度あるか無いかの区切り目だと思いました。
「…しばらく、好きな事して羽根のばしとけー」
そんな言葉をかけて、あとはまた通常通り
怒濤の冬も春も越えて夏が来ました。
「あのよ、今日よ、6月30日だろ?
お前7月に車のトラブルって行ってたよな、
アクセル踏んでも回転数上がらないんだよ。やばいよな?」
「明日7月1日の朝イチでディーラーに行ってください。」
修理して、治って数日。
「前のタイヤ両方バーストしたよ。
いくら7月だからってどうすんのよこれ!」
占い師に聞かないでタイヤ屋さんに聞け!
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