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田舎のおっちゃん

2009.12.10 22:08|雑記
クリスマスが近くなってきましたね!


向かいのアクセサリー屋さんもプレゼントの下見の人で賑やかです。


うちの店にはアドベントカレンダーを貼りました!

クリスマスまで1日ずつその日付の所をめくって、中の絵を楽しんだり箱になっているものはキャンディーが入っていたりします。


ニイナさんは紙のみのカレンダーを買いましたががっちり貼っつけてしまったので
日付によってはめくれていません。



小さい頃は、イブの夜になると教会学校の人達とあちこちの家に讃美歌を歌って廻りました。


雪の凄く多い街だったので民家が途切れた所で吹雪が凄くて遭難しそうにもなりました。



でもそれが楽しみで毎年わくわくして前夜祭の礼拝に行っていたのですが

行かなくなったのは何歳の頃だったんだろう?と何回考えても思い出せません。


たぶん、中二病発症の頃だったんだろうと思いますが。







子供の頃の思い出の中に、あるおじさんが居ます。



真っ黒い顔。ぼさぼさ頭で、服はいつも紺色の作業服。


「おっちゃん」


と呼ばれていたその方は、歯のない口をガハーッと開けていつも笑顔でした。



学校のグラウンドか教会の敷地内か、
だいたいその辺りで、放課後の時間になると大勢の子供たちとワァワァキャアキャア遊んでいました。



ニイナさんもおっちゃんが大好きでした。


男の家族が父親も祖父も居ない家庭でしたし、女性みんなが

「箸より重いものをワタクシに持たせるの?」

というお姫様ばかりの家庭で「肩車」や「相撲とり」なんて一回も考えた事はありませんでしたから、

おっちゃんはニイナさんにとっては父親みたいな人でした。





―おっちゃんに初めて会った時は


外見も汚くて大声をあげて、
両脇に同級生の子を抱えぶんぶん振り回しているのを見て
あまりの遠慮のない乱暴さに恐ろしくなりました。



でも友達がみんな

「おっちゃーん!」と

次から次からおっちゃんの胸に飛び込んで行くのでニイナも頑張らなきゃ、戦わなきゃ、と恐る恐る近づいていったのです。


しかしお姫様に育てられた子供(後にオヤジ化はする)は初対面の大人にそんな失礼な真似はできません。


おっちゃんがこちらに気がついて目があったとき、

ニイナさんは思わずにっこりと愛想笑いをしたのです。



その瞬間。おっちゃんはニイナさんの手をぐいっと引き、そのままぐるんと半回転して肩にのせてぐるんぐるんと回り出したのです。



物静かににっこりしていたニイナさん。


突然の横暴さにびっくりしてどうしょうどうしょうと動揺しました。


でも、大笑いをしていたのです。


おっちゃんにしがみついて、パァーッと晴れたグラウンドの広い空がぐるぐると回っているのを見て、

生まれて初めてゲラゲラと大笑いをしたのではないかって位笑ったのです。



それから、ほとんど毎日先生に下校時間だよと言われるまでみんなでおっちゃんと遊んでいました。



いつもおっちゃんは笑顔でキックされてもパンチを受けても

「いてっ!勝負するかーハハハ!」

と面白そうに子供と遊びます。


どこに住んでいるのかは誰も知らず、



「エルム団地のほう」
「本当はすごい金持ちなんだぞ」
「誘拐犯で指名手配されてる」


と子供らしい勝手な噂がたくさんありましたが、
詳しい所は誰も知りません。





ある日、一人で歩いていた所をタクシーから見つけた時がありました。


いつものニコニコのおっちゃんではなくて、
おどおどしたような、少し攻撃的な目をして行き交う人や私の乗っていたタクシーを見て歩いていました。


その姿を見て、本当は悪い人なのかななんていうことを思いましたが


それから少し経っての日曜日に、教会の敷地の公園におっちゃんが来て、
教会学校が終わってからまたみんなでキャアキャアと遊びました。


大人たちの礼拝が終わると昼食会があるので子供たちも呼ばれます。


その時に牧師先生はおっちゃんにも


「一緒にいかがですか。」


と誘いました。



その時のおっちゃんの返事は牧師先生の顔を見ようともせず



「いらない」



そう呟いてまだ腰にぶら下がって居た子供と遊びを続けていました。




それを見てどうしてかは解らないけれど、

おっちゃんに拒否された牧師先生が悪い人のような気持ちになりました。



説明できないけど、おっちゃんの方が心が綺麗だと感じた瞬間でした。


牧師先生が少し、おっちゃんを警戒して、よそよそしい言葉遣いをしていたからかもしれませんが。





おっちゃんは本当に子供が好きで、大人は嫌いなんだと思いました。



高学年になって、もう大人の背丈になった私を普通に抱きかかえて高い高いをしてくれていました。



同時に、ニイナさんは思春期に移ります。


目が合うと「おい!ニイナ!かかってこい!」と笑顔で道を遮るおっちゃんが恥ずかしくなってきます。



そのうちに、おっちゃんに会わない道を通るようになり、

校門を出て振り返った時におっちゃんがこちらを見ていた記憶が最後でした。



中学は通っていた小学校からかなり離れた所にありましたから、おっちゃんに会うことはありませんでした。



それからまた何年か過ぎて、トラックで田舎よりさらにずっと遠くに行った時に、

とある街に歩道をおっちゃんが歩いていたのです。


見間違えるはずありません。


真っ黒い顔でぼさぼさ頭で作業服です。


運転席から覗きこむとおっちゃんも難しい顔をしてこちらを見ていました。


その日は通り過ぎてしまいましたが、間もなくまたその街に行く事がありました。


お酒屋さんに、おっちゃんは働いていました。

踏切の手前のお店で、ちょうど遮断機が降りていたので窓から


「おっちゃーん!」


と呼びました。



おっちゃんは瓶の仕分けのような作業をやめて振り返ると、

あのおどおどした嫌そうな顔をして私を見ました。



「しまった」



とっさに私はもう大人なんだ、と思ってそれ以上を話せませんでした。



「ニイナだよ!」



と言って思い出してくれるかも解らないし、
おっちゃんにとって大人と話すのはストレスなら、話さない方がいいのかなと思ったのです。



その頃私は20歳でした。



おっちゃんと遊んでいた記憶がまだ全然鮮明で、

自分が大人だと解っているようで気がついていなかった頃のお話しです。





それから、当然ですが子供には戻れず大人になっていく一方で、


おっちゃんが今も子供たちと遊んでいるのかな、
もう年だろうから体は辛くないのかな、と思ったりします。





絵本で楽しそうに遊んでいる子供たちの絵を見たりするとおっちゃんが浮かんでくるのですが、


一番子供の心でいたのはおっちゃんですよね。




その頃の大人たちに聞けば本当の所はどうだったのか解るのかも知れませんが、



ニイナはそうだと信じていたいです。
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Author:ニイナ・ゲイト
こんにちは!ニイナ・ゲイトです。

札幌市中央区にある4丁目プラザにて19年、7万件近くの女性皆さんを応援してきました。
北海道テレビ放送HTBの朝番組「イチモニ!」の占いを毎日書いています。

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